相続税Q&A
A1 被相続人から相続、遺贈、相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した各人の課税価格の合計額が、基礎控除額を超える場合には、その財産を取得した人が相続税の申告をする必要があります。
したがって、課税価格の合計額が基礎控除額以下である場合には、相続税の申告は必要ありません。
A2 相続税の申告書の提出期限は、死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
A3 相続開始前3年以内の被相続人からの贈与財産の価額のうち、その贈与税の配偶者控除を受けた金額に相当する部分は、相続税の計算上、相続開始前3年以内の贈与財産の加算の対象にはなりません。(相法19)
A4 離婚により財産の分与を受けた場合には、それが協議上の離婚であっても裁判上の離婚であっても、原則として贈与税は課税されません。しかし、その財産の価額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮しても、なお不当に多すぎると認められる場合の、その不当に多すぎる部分や、離婚を手段として贈与税や相続税を免れようとするためのものである場合の分与財産については、その財産は贈与により取得したものとして贈与税が課税されます。(注)離婚による財産分与は、通常は財産の贈与には当たらない。
A5 相続時に相続税を納めて取得した財産であっても売却するときには原則として譲渡所得税が課税されます。ただし、この譲渡所得税を減額することができる特例があります。
この特例のことを『相続税の取得費加算の特例』と言います。相続により取得した財産を、相続税の申告期限の翌日以後3年以内に譲渡した場合には、支払った相続税額のうち、一定の金額をその譲渡所得の計算上、経費とすることができるというものです。
この特例の適用を受けるためには確定申告をすることが必要です。
A6 相続発生後は、被相続人の財産・債務の把握、相続人の確認等さまざまな作業を行う必要があります。
その財産・債務を把握したうえで相続放棄を選択する場合は、相続開始日から3ヶ月以内に申出なくてはなりません。また、被相続人の準確定申告(その年の1月1日~相続発生日までの確定申告)は、相続開始日から4ヶ月以内に行わなくてはなりません。
よって、相続税の申告の相談は、早ければ早いほどよいと言えるでしょう。できれば相続開始日から2ヶ月以内にされることをお勧め致します。
A7 相続税の節税につながる基本的な手法は以下のとおりです。
<生前贈与>
生前贈与を行うことにより、将来の相続財産の減少を図ります。 この場合は、生前贈与する財産の種類・金額、贈与税の特例などの選択について十分検討しなければなりません。
<評価引き下げ>
評価額の高い財産(現金・預金など)を、評価額の比較的低い財産(アパートやその敷地など)にシフトさせることにより、将来の相続税の節税を図ります。 なお、節税対策とともに、生命保険などを活用して将来の相続税の納税資金を準備しておくことも重要です。
A8 相続税がかかる財産は、原則として、相続や遺贈によって取得した財産です。
例えば、現金、預貯金、土地、建物、株式、投資信託、宝石、家具、自動車、書画・骨董品、事業用資産、電話加入権、著作権などです。
イ 相続や遺贈によって取得したものとみなされる財産(みなし相続財産)
例えば、死亡退職金や功労金、死亡保険金、生命保険契約の権利などです。
ロ 相続開始前3年以内に被相続人からの贈与によって取得した財産
ハ 生前に被相続人から相続時精算課税に係る贈与によって取得した財産
A9 結論から先に申し上げると、相続人にはなれません。相続人になれる人のことを「法定相続人」といい、配偶者(夫・妻) と血族(子・親・兄弟)に限定されています。
法定相続人になれる配偶者とは、正式な婚姻の届出を行った夫または妻のことです。
戸籍上は籍に入っていない内縁関係の場合は相続権がありません。よく引用される事例ですが、入籍前の新婚旅行で事故死した場合も相続権はありません。
A10 本当です。養子は養子縁組を行った日から実子と同じ扱いになります。この場合、養子は養親(ようしん)、実親(じつおや)の両方の相続人になれます。
一方、連れ子の場合は再婚した親は婚姻届により配偶者としての相続権が認められますが、配偶者と血族(子・親・兄弟)のみが「法定相続人」とされるために、血縁関係のない連れ子には相続権がありません。
A11 婚姻中の両親から生まれた子を「嫡出子(ちゃくしゅつし)」といい、婚姻関係のない男女から生まれた子を「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」いわゆる「婚外子」といいます。
婚外子には、父の相続権はありませんので、この場合は「認知」によって父との間に親子関係を生じさせることで、相続権を得ることができます。
A12 最終的に相続人や特別縁故者がいない場合は、相続財産は国庫に入ります。 相続人のいない場合、通常、利害関係者または検察官の請求により家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任し、相続財産の管理と不明の相続人の捜索を行わせます。
そこで相続人がいないことが確定し、その後、「特別縁故者」から家庭裁判所へ申し立てがあれば、相続財産の全部または一部が与えられ、特別縁故者がいなければ相続財産は国のものとなります。
特別縁故者とは、内縁の夫・妻、被相続人の療養看護に努めた人、戸籍上は養子縁組の届出がなされなかった親子同等の関係者など、被相続人の存命中に精神的あるいは経済的な支援を行っていたなどの密接な関係を認められた人をいいます。