単独申請による相続登記と登記識別情報の問題

  1. 相談前状況

    最近父を亡くしたOさん、母は既に亡くなっていますので、Oさんとその兄弟である弟と妹が相続人となりました。兄弟は皆結婚しており、父の暮らしていた実家には今は住んでいません。

    兄弟間で話あった結果、父の自宅はとりあえずそのままにしておこうと考え、相続も兄弟で均等に分割する法定相続分通りの3分の1づつということになりました。

    葬儀等も終わり落ち着きましたので、Oさんは、今後は弟・妹たちの手を煩わせることなく、一人で出来る事は一人で手続きを進めていきたいと考えています。

    手続きの一つである相続登記は、相続人の一人から申請できると聞いたのですが本当でしょうか。またその場合、何か問題はありませんでしょうか。

     

    解決方法

    登記の申請は、全ての権利者(不動産の買主や相続人など)が申請人となることが原則です。

    ただし例外として、保存行為にあたる場合(相続など)は、権利者が複数いる場合でも、そのうちの一人から申請することができます。

    今回の相続登記は、保存行為に当たりますので、Oさん単独の申請により、Oさんと兄弟の分をあわせて相続登記の申請をすることができます。

     

    ただし、ここで一つ注意が必要です。

    登記を申請すると、申請人に対して登記識別情報(従来の「権利証」に当たるもの)が通知されます。

    ただし、この登記識別情報は申請人のみにしか通知されませんので、今回の場合、Oさんだけに通知され、他の兄弟には通知がされないことになってしまいます。

    今後、不動産を売却する場合などに必要となりますので、相続人全員で申請することをお勧めしました。

     

    解決後状況

    相続人全員で登記を申請することで、相続人全員に登記識別情報が通知されました。

     

     

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